「クロノく〜ん!」

「……エイミィ。…悪い、今急いでるんだ」

「あ、ちょっと〜!?」

 

 

魔法少女リリカルなのはA’s

幸せと不幸の境界線

 

 

「…って感じで、最近クロノ君に、避けられてる気がするんだよ!」

 

時空管理局L8番艦「アースラ」の会議室になぜか集められた、いつもの面々。

詳しく紹介すると、なのは、フェイト、はやて、アルフ、ヴォルケンズ、そしてユーノ。

そのみんなを集めた女性は、最近の重大な悩みをみんなに打ち明ける。

……ただ───

 

「あの、エイミィさん。僕たちアースラが、

今だかつてない危機に瀕したので、助けてほしいって言われて、急いで来たんですけど…」

 

と、ユーノが、みんなの言いたかった事を、纏めて言った。

でも、何故か弱腰。

なぜなら、エイミィは見た事ないほどの真剣な顔つきだったからだ。

 

「ユーノ君! これほど危機的な状況はないんだよ!」

「…え? そうなんですか?」

「そうだよ! 艦長とその艦の通信司令の連携が取れてないんだよ!?

 もう、いつ墜落してもおかしくない! うぅん、このままじゃ撃沈されちゃうかも!?」

「……はぁ〜…」

 

ただならぬ気迫に、ユーノくんたじたじ…

これはもう、付き合うしかないようだ。

全員、念話で同意、話しを聞く事にした。

なのははとりあえず、根本的な事を聞いてみることにした。

 

「それで、エイミィさんの方は、何か心当たりないんですか?」

「それが解らないから困ってるんだよ、なのはちゃ〜ん!」

「エイミィ、本当に解らない? 気付かないうちに、クロノ怒らせちゃったんじゃないの?」

「フェイトちゃんの言う通りや。もしくは、傷付くようなこと言ったとかやな〜」

 

はやての言葉に、エイミィ沈黙。

腕を組み、目を閉じて、真剣に思い出そうとしている。

その僅かな時間、みんなも一緒になって考える。

果たしてエイミィが。そういうことをするだろうか?

全員一致で、結論に辿り着く。……うん、ありえる! …と。

だが、エイミィは、溜め息を付きながら首を振って否定。

 

「ダメ。心当たりなんてないよ〜。それに最近は仕事ばっかりだったし…」

 

確かに、クロノとエイミィは仕事がら、よく一緒に行動する時が多かったが、

最近は忙しく、簡単な通信報告だけで、世間話しもろくにしていなかったりする。

だが、こうなってくると、みんなも真剣になり、悩みだしてくる。

クロノは少し厳しい面はあるが、あからさまにそういう態度を取ると言った事は絶対しない。

みんなが一斉に悩む中、悩むのが疲れたのか、ヴィータが半ば不機嫌な状態で口を開く。

 

「つーかさ〜、クロノ本人に直接訊けば良いんじゃねーの?」

「ヴィータちゃん、いくら何でもそれは…」

「……それもそうやな!」

 

シャマルの弱々しい声が、はやての元気な声によって、消し飛んだ。

はやての考えが解らず、全員がはやてに注目する。

 

「ようはエイミィさんを避けている理由が、解ればええんやろ?」

「主はやて。それはそうなのですが、あのクロノ艦長が……」

 

シグナムの言いたいことは、みんな何となく解る。

クロノは、どう贔屓目に見ても、そういうことを他人に言わなそうだ。

だがはやては、我に秘策あり! …っとばかりに、人差し指を突き出し、自信満々に言う。

 

「その辺は、大丈夫や!」

「……と言いますと?」

「クロノ君は、他人にそういう話しはしない。だったら簡単や。他人じゃなければええねん!」

「……なるほどぉ〜」

 

と唸るエイミィ。すぐに視線はある人物に向けられる。

その人物は、エイミィだけでなく、みんなに注目されていると自覚し、オドオドし始める。

 

「え? …え? …なに? なに?」

「…頼めるかな、フェイトちゃん!」

「…えっ!? 私ぃ!?」

「確かに、フェイトちゃんしか居ないよね…」

「そうだね。フェイトにだったら、すぐ話しちゃうんじゃないかな?」

 

なのはとユーノ。2人の親友からも笑顔で言われ、困るフェイト。

周りを見ると、なのはとユーノは笑顔でフェイトを信用し、

はやてとアルフからは、頑張れ! っと目で訴えかけられている。

ヴォルケンズに至っては「諦めろ…」と言っているような目で見てくる始末。

中でも、一番困ってしまったのが、エイミィのすがり付くような潤んだ瞳であった。

 

「……解った。私が話し訊いてみる」

 

フェイトに選択肢は、存在しなかった。

ただただ、密かに想いを寄せる少年に、期待感を込めて見つめることしかできなかった。

 

 

 

 

「……で、なんで僕も一緒に行く事になるのさ?」

「フェイトちゃん一人だと心配やからな〜。まぁ、ちょっとした保険や!」

「……逆効果だよ、絶対…」

 

何故かユーノも同行されそうになっている。

フェイトはフェイトで、一人じゃない!…っと嬉しそう。

だが、ユーノとしては、納得のいくものじゃない。

他人じゃ話してくれなさそうにないから、フェイトを一人で行かせるのであって、

ユーノが一緒に行ってしまったら、フェイトを行かせること自体に意味がないと言うものだ。

そのユーノの考えを、はやては笑顔で切り捨てる。

 

「…そうでもないと思うんよ〜」

「……どういうこと?」

「クロノ君が、声を荒くして感情ぶつけてくるのって、ユーノくんぐらいやん?」

「…良く解らないけど、……まぁ、そうかもね」

「だから、すぐムキになって、コロっと口滑らすかもやん!」

 

……どんな理屈だろうか?

だがもう、はやての中では、ユーノも行くことが決定されてしまったらしい。

ユーノは納得していないので、渋る。まぁ、そうだろうさ…

ふと見ると、フェイトが「一緒に来てくれないの?」って瞳で見上げてくる。

バカ正直に可愛いと思って照れて紅くなるユーノに、なぜかムッとなるなのは。

 

「ユーノくん! 早くフェイトちゃん連れて、行って来なよ!」

「な、なのは? いや、でもね───

「……ユーノくん♪」

 

まだ行こうとしないユーノに、はやてが満開の笑顔を向ける。

何故か、みな一斉に言葉を失う。室内温度も下がる。

なんていうか、怒りを笑顔の仮面で隠しているような…

その笑顔から、ユーノに向けて最大の攻撃が放たれる。

 

「ユーノくん、“アノコト”みんなに、ゆーよ?」

「!? …はっ! 行ってくるであります!!」

 

突然席を立ち、急いでフェイトの手を引き、動き出すユーノ。

ほかのみんなは、明らかな変貌を遂げたユーノに疑念を膨らませる。

 

「ねぇ、“アノコト”…って?」

「何かあったの、ユーノ…?」

 

エース2人からの、もっともな疑問を、大げさな声で流すユーノ。

 

「任務は僕とフェイトで行く! みんなはここで待機していてください!!」

「…ほな、任せたな〜♪」

「はっ! 了解したであります!!」

 

はやてに敬礼して、フェイトを連れ、出て行くユーノ

……彼はいったい、彼女に何を握られているのだろうか?

 

「さぁ! 対象を確保しだい、速やかに尋問するよ、フェイト!!」

「…いい加減、戻ってきて、ユーノ!!」

 

しかも、脳に甚大なダメージを受けてしまったようだ。

そんなユーノに、得意の電撃魔法を掌に展開させ、ゆっくりユーノの身体に触る。

…俗にいう、電気マッサージである。

 

ヴィビィビィビィビィビィー! 「〜〜〜!?(声にならない)」

 

「……正気に戻った?」

「あぁ、何だか生まれ変わった気分だよ…」

「そう…よかった……」

 

黒焦げなのに笑顔のユーノ、何かを成し遂げたような顔のフェイト。

ハッキリ言って、先行き不安な2人だ。

そんな2人に、はやてから念話が届けられた。

…まだ会議室の扉付近に居るのに、である。

 

『あんなー2人とも〜。伝え忘れたことが、あんねんけど…』

『…はっ! 何でしょうか、八神部隊長?』

(まだ戻ってない!?)

『道中2人っきりやからって、変なことしたら、あかんよ〜♪』

「「…はぁ!?」」

 

何を言われたのか解らないっと言った声を出す2

理解する前に、もう一度、念を込めまくって伝えるはやて。

顔は見えないはずなのに、何故かドス黒いオーラを纏った笑顔のはやてを見た。

 

2人っきりやからって、やましいことしたら、あ・か・ん・よ♪』

 

……恐怖って、何だと思う?

2人は、お互いの手を無意識に握り締め、本気でそんなことを考えてしまった。

強く握り締めても、お互いの震えは止まらない。むしろ強くなっていく。

この手を離したら、きっと自分は消される! …そう本気で思ってしまった2人。

 

『…あ、なんや、なのはちゃんからも伝えたい事あるらしいから変わるな〜』

 

こちらの恐怖心など、お構いなし!

念話の受け取りを、ぜひ拒否したかった2人。

 

『……ユーノくん、フェイトちゃん?』

「「…は、はいっ!!」」

 

念話であることを忘れて、力の限りに叫ぶ2

これまた、何故か邪悪なオーラを纏った、笑顔のなのはを見た。

恐怖のレベルを大幅に超えてるぞ、白い悪魔…

 

『…早く帰ってきてね。…後でお話し聞かせてもらいたいから♪』

「「ど、努力しますっ!」」

『…うん、待ってるから。……いつまでも、ね♪』

 

ガクガクブルブル。携帯マナーモード、電話鳴ってますよ状態。

もはや、なぜこうなってしまったのか、2人には解らない。

だが、そもそもの原因は解っている。…ヤツだ!

 

「フェイト、ユーノ。……どうした? 会議室の前で震えたりなんかして…」

 

探していた相手(注:まだ探し始めてもいない)クロノが歩いてきた。

その黄昏つつも気楽な顔をした人物を見た瞬間、2人の中の何かがキレた。

 

チェーン・バインドッ!!

ライトニング・バインドッ!!

「…な、なにをする!?」

 

グルグル巻きにして、両手足を完全固定。

無自覚に合体技を完成、発動させてしまった2人の才能に脱帽。

ジタバタと抵抗するクロノに、さらに追い討ちをかける2人。

恐怖に屈した2人は、微妙に目とかイッちゃってます。

 

ストラグル・バインドッ!!

 

動くことすら許さないとばかりに、クロノを拘束していくユーノ。

その隙がまったくないバインド技は、すでにSランクに達している! …つか外道。

まぁ、上には上の外道が居ますがね……ここに。

 

「とどめぇ! サンダー・レイジィーッ!!

 

…とどめってあんた、目的忘れてません? …ユーノもだけど。

しかも、まったく加減なし。フェイトの必死さが伝わってきます。

 

ヴィビィビィビィビィビィー! 「!!!??(声すら出せない)」

 

そして、クロノが死にかけてるのも伝わってきます。

全身拘束された上に、大出力の電撃……ただの拷問だ。

電撃が止み、残ったのは、なんとか生きてる……ミディアムなクロノ君。

そんな元クロノを担いで、会議室に駆け込む、ネジ紛失中の2人。

 

「「連れて来ましたー!!」」

 

乱暴に黒焦げの何かを、エイミィの向かいの席に座らせる。

当然のことに、呆然となる会議室メンバー。

…凄いね、アースラ! 防音対策もバッチリ!

 

「連れて来たって、……その物体、クロノ君なの?」

「ハイ! 味を逃がさないように、何重にも縛り───

「電撃系で、ミディアムに焼いてみました!」

 

エイミィの質問に、訳の解らんことを口走るユーノ&フェイト。

もう何が何やら…って感じのエイミィ。……クロノの心配はしないんだ。

いち早く回復したヴィータが、もっともな疑問を2人にする。

 

「…お前ら、エイミィの話し、訊けたのか?」

「……………………てへ☆」

 

ペコちゃん顔で誤魔化す2人は、もう精神が危ないのかもしれない。

それを見たシグナムは、真剣な顔で、シャマルに助けを求める。

 

「シャマル、あの2人、何とか治せないのか!?」

「無理よ、シグナム。私、ちょっと“アレ”な人達なんて治した事ないもの〜!」

 

さすがのシャマルさんでも、治せないものは存在します。…目の前の2人とか。

誤魔化す2人に、はやては笑顔を向けるだけで、何も言ってこない。

頭の後ろに、ピキマークがあるのはご愛嬌。

怯え、震え出す2人に、なのはが苦笑しながら席を立つ。

 

「…とりあえずクロノ君を起こそうか」

「どうやってだよ? 当分起きねーぞ、それ…」

 

ヴィータの言葉通り、焼き焦げたクロノは完全に活動を停止している。

頭から煙なんかも出ていて、すごく熱そう…。

例えるなら、謀有名ジャンプマンガに出てくる、

額に銃弾喰らって、全身焼かれて、それでも生きていて、動乱を起こそうとした男のようだ。

そんな男…もとい、クロノを引きずって、会議室を出ようとするなのは。

彼女のその時の笑顔と台詞に、全員が恐怖した。

 

「……少し、体冷やそうか…」

 

会議室を出て行った直後に、誰かさんの絶大な悲鳴。

防音対策はバッチリなはずなのに、なんで聞こえるんでしょうね…

そして、戻ってくる、なのはとクロノ。

クロノ君、自分の足で歩いて座る。…それでも、さっきより真っ黒。

先に口を開くは、スッキリ顔のなのはさん。

 

「…クロノ君、…お話し、訊かせてもらえるよね?」

「……ハイ、ナンデモキイテクダサイ」

 

……どうした、クロノ!?

何故かロボット口調のクロノに、さすがのみんなも心配になってくる。

シャマル、急いでクロノに治療魔法をかける。

何でも、その時の、回復に使った魔力は、ザオリク級だったとか…

もう大丈夫だろうと思ったはやては、単刀直入に訊くことにした。

もうこうなってしまったら、後は勢いだ。

 

「クロノ君、単刀直入に言うな?」

「……な、なんだ?」

「なんでエイミィさん、避けるんや?」

「……うっ…」

 

冷静さを取り戻せたクロノでも、突然のことなので、誤魔化す暇もなかった。

認めたに近い呻きを上げ、向かいに座っているエイミィを見ようともしない。

そんなクロノに、さらに詰め寄るはやて。

 

「エイミィさんが、なんや気に障るようなことしたんか?」

「……そういう訳ではないが…」

「…じゃあ、何なん?」

「……うぅぅ〜…」

 

口篭もり、小さく唸るクロノ。

自然みんなは、その煮え切らなさに、段々とイラつき始める。

ヴィータがキレ始めようとする前に、意外にも、先にキレる2人。

その2人は、まだネジが見つかってないようだ。

 

「バルディッシュ、クロノを切るよ。ザンバーフォーム、いける?」

『 ……Yes,sir,

……いい子だ

Zamber from,

「…ック! レヴァンティン、身代わりになれ!!」

『 …Ja!?

 

クロノより自分の命を大切にする賢いデバイス、バルディッシュ。

慌てて止めるシグナムが痛々しい。…つか、酷い。

同じく、ネジが見つかってないもう一方は…

 

「……シャマルさん、クラールヴィント貸してください」

「な、何に使う気なの、ユーノ君…?」

「いえ、ちょっと。クロノの“リンカーコアをぶち撒ける”だけですから…」

「貸せない貸せない貸せない貸せない貸せない貸せない貸せな〜い!!」

 

激しく首を左右に振る姿が痛々しいよ、シャマルさん。

そんなことが自分の後ろで行われてるのを、クロノは冷汗を流しながら感じた。

結果的に2人のおかげなのか解らないが、口を割るクロノ。

 

「……その、どう接して良いか解らないんだ」

「……は?」

 

会議室に響くは、はやての疑問符。

クロノは、俯いて、ギリギリ聞こえる声色で話し始める。

その顔は、何故か紅い。

 

「……最近、妙にエイミィを意識してしまって、上手く話せないんだ」

「……ちょーまって。じゃあ、何…クロノくんは、つまり〜…」

「あぁ、傍に居るだけで、恥ずかしくてな……」

 

会議室をシーンとさせるクロノの自白…ではなく、告白。

当然、みなは自然とその告白を受けてしまった相手に視線を集める。

集まる視線に気付きもしない、耳まで真っ赤なエイミィさん。

ジッとクロノを見る瞳は、期待感に満ちていた。

恥ずかしいけど、確認したがるのも、女の性。…弱々しくではあるが、確認する。

 

「…あ、あの! ……じゃ、じゃあ、クロノ君は、私のこと…その〜…?」

「……あ、あぁ、自分でも、そのなんだ……驚いている」

「!? あぅぅぅ…。そ、そう、…なん、だ……」

「…あ、あぁ、迷惑になると思って、伝えなかったんだが……」

「…そんなことないよ! その、……嬉しいし…」

「……え? ……ということは?」

「う、うん! あ、あの、私も…その、……そうなんだよ? ……だ、だから…」

 

真っ赤になりながらも、2人だけの世界を形成させていく2人。

見ている人達は、もう笑うしかない。…引き気味だけど。

全員、急いで席を立ち、扉向かって歩き出す。

最後に、ようやくネジを発見した2人が、疲れた笑顔で祝福する。

 

「両想いになれてよかったね、クロノ、エイミィ」

「おめでとうございます、2人とも…」

「「…お幸せに〜♪」」

 

そう言い残し、会議室を去る、ユーノとフェイト。

会議室に残された2人は、もう目の前の相手しか見えていなかった。

……こうして、アースラ名物のバカップルは誕生した。

 

 

 

 

終わり?

 

 

 

 

「なぁ、シグナム。私たち、なんで集まったんだっけ?」

「聞くな。というか忘れろ。私も今日のことは忘れる」

「ねぇ、ヴィータちゃん、シグナム。……あれ、あのままで良いの?」

 

シャマルが困った顔で、前を歩く少年少女たちを指差した。

何故か、なのはとはやてに、引っ張られ連行されていくユーノとフェイト。

しかも、引っ張る2人、バリアジャケット装備で完全武装。

 

「はやて、なんで僕、連行されてんのさ!?」

「なのは〜、私が何したの〜!?」

 

ごもっともな疑問である。

そして、何故か向かう先は訓練室。

引っ張りながらも、笑顔を崩さない2人。

首の襟元を後ろから引っ張られている2人は、すでに泣いていた。

 

「いや、今日解ったんやけどな〜。2人とも、コンビネーション抜群やんかー」

「これはもう、22のタッグバトルするしかないよね〜!」

 

ユーノを引っ張るはやては、満開の笑顔で……だが、もの凄い腕力。

フェイトを引っ張るなのはは、愛くるしい笑顔で……でも、フェイトの首を絞める。

フェイトは、ユーノに抱きついて泣き崩れたい衝動を必死に抑えていた。

そんなことしたら、確実にアリシアの居るところまで逝かされる!

 

「大丈夫や! ただの訓練、他意はないよ〜。

…別に2人でイチャイチャしやがって……なんて思うてないんやからなー♪

「あ、今レイジング・ハート調子悪くて、非殺傷設定できないんだけど…

 別に、問題ないよね? ユーノくんとフェイトちゃんのコンビなら大丈夫だよね♪

 

いや、もうすでに手遅れだ。

ユーノは、すでに諦めた顔して、運命を天に委ねている。…目はすでに死んでます。

フェイトは、我慢できずにユーノに抱きつき、後ろ…フェイトからしたら、前だけど…

で、こちらを見守るヴォルケンズとアルフに、助けを求める視線を送る。

…が、全員、視線を逸らして、目を合わせようとしない。

…どうやら見捨てられてしまったようだ。

フェイトの悲痛な叫びが、アースラ艦内に響き渡った……

 

「すまねぇな、ユーノ、フェイト。私はまだ死にたくねーんだ……」

「シャマル、クラールヴィントを起動させ、いつでも治療できるようにしておけ」

「私、傷は治せるけど、……蘇生はできないのよ、シグナム…」

 

そんな3人も含め、見守るアルフとザフィーラ。

…が、何故か、ザフィーラに涙を流し、お別れを言うアルフ。

泣き叫ぶフェイトの隣で、ユーノは最期に、こう思った……

 

(…幸せのすぐ近くには、不幸なことがあるんだよね……)

今度こそ終わり。













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