・初めに

 原作とは違う部分が多い……というか全く違ってますが。
 それでも構わないという方のみ、先へお進み下さい。



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 『ラグナの気遣いと後悔』




 私、ラグナ・グランセニックは今日、所用があって機動六課に来ています。

 海の方を見れば今日も訓練をやっているのか、色取り取りの魔力光が飛び交っていて、とても綺麗でした。

 そんな光景を見ながら遊歩道を歩き、会いに来た人達の事を思い出していました。

 最初はお兄ちゃんの事を思い出す。

 凄く優しかったお兄ちゃん。

 でも……私が怪我をした日から、私とお兄ちゃんは会っても碌に会話もできなくなってしまった。

 私に怪我をさせた事に苦悩した後、武装局員を辞めてヘリパイロットになった。

 そのまま月日だけが過ぎていった。

 私はその事をずっと寂しいと悲しいと思ってた。

 できれば昔みたいに話せる様になりたかった。

 でも、私の目に傷が残っている内はお兄ちゃんがその事を気にしてしまう事は分かってた。

 だからあの日までずっと我慢してた。

 そしてあの事件が終わった後から、少しずつお兄ちゃんが変わってきている。

 家の方にも顔を出す様になってくれたし、兄妹の仲は時間はかかっても昔の姿を取り戻せると思う。

 まぁ、急に家に帰ってきたお兄ちゃんが頬に手形を付けたまま土下座して謝ってきた時は何事かと思った。

 まさかティアナさんに殴られて、その上説教されたなんて誰も考えつかないよね。

 全部を聞いた後、私は笑ってお兄ちゃんを許した……といっても私がお兄ちゃんを責めていた日は一日だって無い。

 でも。

 お兄ちゃんには悪いけど、あの時の事を思い出すとどうしても笑ってしまう。

 なんでティアナさんが私達の事で世話を焼いてくれたのかは後から聞いた。

 ティアナさんは数年前にお兄さんを仕事中に亡くしていて、私達の関係を知って許せなかったんだって。

 その事をきっかけにティアナさんは休日に時々家に来てくれる様になった。

 私の話し相手になってくれたり、お買い物に付き合ってくれたりもした。

 時々一緒にお料理したりもしたけど、ティアナさんは料理は苦手みたいだった。

 四苦八苦しながら皮を剥いたりしている姿は仕事の時の凛々しさが何処にも見えなくて凄く可愛らしく見えた。

 普段は結構ぶっきらぼうだけど、それは外側だけで内側は凄く優しくて面倒見の良い人な事を私は知ってる。

 初めの頃は私との距離を掴みかねていたのか、どこかぎくしゃくしていたけど……今はもう平気。

 下手な姉妹よりずっと仲良くできてると思う。

「本当にそうなればいいのになぁ」

 空を見上げてそう呟いてみる。

 私はそうなればいいのにと心の底から思ってる。

 ティアナさんがお姉ちゃんになればいいなって。

 そう思って目を瞑って思い出すのは、少し前の休日。

 大事な話があるから、とティアナさんから連絡があった。

 そして聞かれたのがお兄ちゃんに好きな人がいるか知らないか、というもの

 物凄い真面目な顔をしていたから、何を聞かれるのかと思ってびくびくしてた私が馬鹿みたいだった。

 その時は反動で思い切り笑っちゃって、ティアナさんに頭を小突かれて暫くは頭を押さえて涙を堪える事になりましたけど。

 私はあの時程スバルさんを凄いと思った事はありません。

 なんであの痛みの中で平気で笑っていられるんでしょう……

 まぁ、それはともかく。

 私がお兄ちゃんとちゃんと話ができる様になったのは最近。

 私自身も最近の事は分からなかったけど、可能性という意味で一人だけいる事に気付きました。

 それはシグナムさん。

 お兄ちゃんの前に所属していた部隊で一緒だった人で、とても強い人。

 私の怪我を知って、何度かお見舞いに来てくれた事があるんです。

 でも自分から話すのはあんまり得意じゃないみたいです。

 だから話すのはほとんど私の方からで、あの頃のお兄ちゃんの近況もシグナムさんから聞いた事がほとんど。

 今の部隊にもシグナムさんの推薦で入ったくらいだから、武装局員を辞めた後もそれなりに付き合いもあったみたいです。

 そんな話をティアナさんにしたら、肩を落として真っ白な灰になってました。

 まぁ、シグナムさんと比較されたら普通の女性はそうなりますよね。

 あの誠実な性格にあの身体付き、あの人の横に立っても見劣りしない女性ってどれだけいるんでしょうか。

 六課で私の知っている人だと……フェイトさんくらい?

 なのはさんや八神さんはタイプが違う様な気がしますし。

 まぁ、その事はどうでもいいんです。

 私としてはその後の方が大変でしたから。

 なんとか真っ白な状態から立ち直ったと思ったらお兄ちゃんの事で愚痴り始めまして……

 私はそんなティアナさんに付き合ってミルクを飲みながら相づち打って、励まして、手料理を振舞って……静かになったと思ったら寝てるし。

 寝てしまったティアナさんをなんとかベッドに運んで、その日は私もベッドに入りました。

 そしてベッドの中でぼんやりと考え事をしてたんです。

 それまであんなティアナさんを見た事がなかったので少し驚きましたけど、逆に言えばそれだけ気を許してくれてるという事なのかなって。

 そう思うと少し嬉しい様な気もします。

 あとは愚痴を聞いていて気付きましたけど、ティアナさんがお兄ちゃんを好きになるとは思ってもみませんでしたよ?

 私が言うと問題になるかもしれませんけど、お兄ちゃんはぱっと見だけだとただの軽い男ですからね。

 正直ティアナさんみたいなタイプが惹かれるとは思いませんでした。

 でも。

 ティアナさんの様子を見ていると本気みたいでしたし、私も妹として応援しようかなと。

 まぁ、そんなワケでお兄ちゃんの気持ちを確認してみようかな、と思って機動六課まで来てみたんです。

 六課の中を見物しながら格納庫まで来てみたんですが……居ません。

 近くを歩いていた人に聞いても見ていないとの事。

 付近を歩き回って探してみましたが何処に居ません。

 おかしいです。

 明らかに変です。

 先程事務の方から出勤はしていると聞きました。

 ですが……何処にも居ません。

 不真面目そうな兄ですが、あれで意外な程仕事には真面目な人なんです。

 だから何処かでさぼっているという事はないと思うんです。

 もしかして、と思い格納庫の中を覗いてみました。

 格納庫内は薄暗くて、奥の方はよく見えません。

 私の左目は傷は消えても視力そのものは戻っていないので、普通の人に比べると更に見辛いと思います。

 そんな状態でゆっくり、ゆっくり足元を確認しながら歩いて行き、ふと何かが動いた気がしてそちらを見ると……

「…………ぁ」

 居ました。

 声をかけようとして……慌てて口を押さえました。

 誰か一緒に居ましたから。

 それまで以上にゆっくりと、足音を立てない様に近付いて行くと見覚えのある髪型。

「ティアナさん?」

 顔を真っ赤にしてどうしたのかな。

 声は聞こえなくはないけど、小さくて聞こえ辛いなぁ。

 仕方ないからこれ以上近付いたら気付かれるかなという処で止まって、耳を澄ませて二人の会話を聞く事にしました。

 で、後悔しました。

 聞いてる内に段々と頬が……というか顔が熱くなってきました。

 どうしようもないです、あの二人。

 仕事中に何してるんですか。

 こんな処でなんて不潔です。

 大体いつの間にそういう関係になってたんです?

 お付き合いしてるならしてるで私に教えてくれたっていいじゃないですか。

 これは私の短い人生の中で一番許しがたい裏切りです。

 罰としてティアナさんはこれから会う度にお姉ちゃんと呼ぶ事にします。

 お兄ちゃんに効果的な罰は……何がいいでしょう。

 怪我の事で突付くと二度と現実に帰ってこれなくなりそうですし、無視……も首括りそうで怖いです。

 まぁ、とりあえず。

 今度帰ってきたらお説教です。

 二人とも最低でも一時間は正座してもらいます。

 今はダメです、私が出て行けません。

 それ以前に今出て行ったらあの二人が困ります。

 興味が無いわけじゃないですけど、私は付き合ってる人もいませんし……まだ早いかなぁと。

 もしそういう時が来たら参考にする為にティアナさんに色々聞いてみましょう。

「……何もこんな処でそんな事しなくてもいいのにね」

 二人が仲良くしてるのなら良い事なんでしょうけど……時と場所は選ぶべきだと思うんです。

 とりあえずこういう時は二時間くらいどこかで時間を潰すのが礼儀なんですたっけ?

 その後に『けいたい』という物を利用して連絡を入れて、これから行っていいかを聞けばいいんでしたよね?

 ちなみにはやてさんの受け売りです。

 そんなわけで何処かで時間を潰したい処ですけど……動くと気付かれそうだし、此処で待つしかなさそうですね。

 そうと決まればとりあえずは耳を塞いで暫くの我慢です。

 あんなの聞いていたら私の方がどうにかなっちゃいますからね。

 小さく溜息を吐いて、ふと思うんです。



 ――――私が気を使う必要ってあるのかなぁ。






 ――end.







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 ・あとがき(のような何か)

 おはこんばんちわ、未熟者の近衛です(*´▽`)ノシ
 今回、20万HIT記念という事で書かせて頂いたわけですが・・・本当にこれでいいのか、ワシorz

 本当なら最初はティアナ×ヴァイスで書くつもりだったんですが、急遽ラグナになりました。

 まぁ何はともあれ、楽しんでいただけたなら幸い、そうでなければより一層精進いたします。