もっと、早く着ければと願った。
「おとーさん! エリオ君が……エリオ君がっ!」
「大丈夫……大丈夫だよ」
ユーノはキャロを、そしてエリオを抱きしめる。
「もう、大丈夫だから」
安心させるように、思い切り抱きしめる。
少しでも、四人が落ち着ければいいと願った。
「というわけで、みんな和んだかな?」
ユーノはフェレットであった姿を人間にする。
「父さん!?」
「お、おとーさんがフェレットで、フェレットがおとーさん!?」
「フェ、フェレットが人間になった!?」
「ユ、ユーノ先生がフェレット!?」
ただ、愛する人を支えたい。
暗い空の下、二人は寄り添う。
「君を支えるのは、僕の特権だよ」
「……うん」
知っている。けれど、行きたい。
「邪魔かもしれないのは分かってる」
「……ユーノ」
「でも、行きたいんだ。フェイトの隣に」
最初で最後だと思う。
今まではずっとなのはのサポートをしてた。
一度も、フェイトだけをサポートしたことはない。
「だからアルフ。僕は……ほんの少ししか時間がないとしても、フェイトのところに行くよ」
彼女のそばへ、彼女の隣へ僕は行く。
「フェイトが……好きだから」
少しでも、一秒でも早く向かう。
エリオとキャロは、空に一人の影を見つける。
「…………あれは……」
二人は頷く。
「父さんだ!」
「おとーさんだ!」
そして、たどり着いた先にあったのは、最初で最後の邂逅。
「初めまして、ですね」
「おや、君は?」
「ユーノ・スクライア。彼女の恋人です」
ただ、彼らはすぐに戦うことは無い。
「戦闘に参加しに来たのかい?」
「まさか。帰りに僕がいたほうが楽なだけですよ」
「私が負けるとでも?」
「もちろん、貴方は負けます」
彼の言葉に、男は失笑する。
「だがね、彼女の勝つ可能性は──」
「100%、ですよ」
負けない理由は、幾らでもある。
「想いが強ければ魔力が宿る、という類の話は聞いたことがありますか? もしくは宝石には魔力が宿り易い、というのはどうです?」
「あるが、それがどうかしたのかね?」
「あの宝石には僕の想いが詰まってます。なら、僕の魔力が多少なり付加していても不思議じゃないですよね」
「そうだね」
スカリエッティの言葉に、ユーノは笑う。
「だから、彼女は勝ちます」
力ではなく、争いは会話。
「彼女は本人になれない、出来損ないのクローンだよ」
「ということは、彼女がアリシアではないという証拠ですね」
「……ほう」
矛先は、当然の如く彼女へと向かう。
「君は彼女が子供達を操ってるとしてもいいのかい?」
「親ですから、情操教育は必要ですよ」
「それが操っている。それが洗脳だと私は言っている」
「なら、世界の子育ての9割は洗脳ですね」
けれども、会話からの決着は望めず、ただ平行線を辿る。
「どうやら、貴方には何を言っても無駄のようです」
「それは、君も同じことだろう?」
「……そうですね」
だから、決着は──
翡翠色の鎖がほんの一瞬、スカリエッティを捉える。
「僕はたった一秒、貴方の動きを止められればよかったんです」
ユーノが笑った瞬間、一つの閃光がスカリエッティへと向かう。
「僕達の勝ち、ですね」
そして最後。
迎えるのは、笑顔。
「お疲れ様、フェイト」
「うん。頑張ったよ、私」
「My family」
── original strikers ──
『家族になったからこそ、もう一つの物語が生まれる』