My familyおまけ
9.5話
ホテルのベッドに寝転がる。
眼鏡を台に置き、そのまま天井をみつめる。
思い出すのは先ほどのこと。
「くすっ」
先ほどのフェイトのやり取りを思い出す。
「久々にフェイトに“してやったり”かな」
ユーノに注意されて小さくなってるフェイトを見るのは、この上なく面白かった。
「ドレス姿も綺麗だったし」
目を瞑らずとも思い出せる。
彼女の黒いドレスと、その胸元に輝く淡い緑黄色を。
「プレゼントしてよかったな」
気に入ってもらってるみたいだということが。
たまらなくうれしい。
「ホントにさ……」
どんなに考えても、どんなに理由を付けようとも、どんなに取り繕おうとも、
「……もう、否定なんてできないよ」
一緒にいるだけで心が浮つく。
彼女が別の男と一緒にいるだけで嫌な感情が浮かぶ。
彼女の姿が、彼女に起こることが、彼女といることが、自分の心をどうしようもなく揺さぶる。
自らの揺れ動く感情──嬉しかったことも苛立ってしまうことも、そのどれもが一つの『答え』から派生されたモノなんだって分かる。
「僕はフェイト・テスタロッサ・ハラオウンのことが好きです」
天井を見上げながら。
ようやく『名前』が分かった感情を声に出した。
「……うん、そうなんだよな」
納得するように頷く。
「僕はフェイトに『恋』してるんだ」
自分で呟いて、少し恥ずかしくなった。
「……初恋だよね、やっぱり」
なのはのときは勘違いだったし、それ以外ではこんな感情を抱いたことはない。
「うわぁ〜、どうしよ」
ゴロゴロと転がる。
……と、そこではた、と気付いた。
「というか、フェイトが僕のこと好きなわけ……ないか」
彼女がユーノと話すのはキャロが彼の弟子になったという理由で、それがなかったらきっとこんなに連絡を取り合うことはない。
「……自分で考えて自分でヘコんだ」
そんな予測が簡単にできてしまうことに。
「でも、まあ……」
それでも、“今のユーノ”にはそれほど落ち込んだ表情は見えない。
「今はそれでいいかな」
そこまで、必死になることはない。
「フェイトを好きなんだってことを気付けただけで」
それだけでいい。
「僕が誰かに恋をすることが出来るんだって、分かったから」
僕自身が。
誰かを好きになれるって分かった。
だから今は。
「まだ、それだけでいいんだ」
今は……まだ。