「ユーノ、そっちは大丈夫か?」

「ええ、こっちは問題はなさそうではありますけど……」

ある遺跡。
入り口から少しだけ進んだところで二人は歩みを止めた。

「あまり見たことのない遺跡ではあるな」

「そうですね。文献に載っていたこと差異が見受けられます」

「慎重になるに越したことは無い……か」

「ええ」

より注意深く、二人は周囲を調べる。
カツン、カツン、カツン、と足音が響く。

「ん? 文献にはトラップは無い、ということだったが……」

「嘘みたいですね。平然とトラップが設置してありますよ、この遺跡」

「……二人で来るのは早まったか?」

「かもしれませんね」

「引き返すか?」

「念を入れるなら、そうしたほうが」

ユーノの助言に先輩考古学士は少しだけ考える。

「……戻ろう。悪いが、無限書庫でもう少し検索ワードを広げてもらえるか? これだと、遺跡に関してもっと情報が必要になる」

「分かりました。僕もこの遺跡のことを直接的に書いていた文献とこの場所があまりにも違いすぎると思いますし」

二人は頷くと、踵を返す。




……その時だった。




「……ん……?」

閉鎖された空間のはずなのに……風を感じた気がした。

「どうした?」

「いえ、何かが空気を震わせたよう……な……」

瞬間だった。

「──ッッ!!」

視界全体に黒い塊が飛び込んできた。
何かは分からない。
どんなものかは分からない。
けれども高速で向かってきている黒い塊がユーノ達を吹き飛ばそうとしている。
それだけは理解できた。

「く……そッ!」

ユーノが反射的にできたこと。
それはすぐ隣にいる、先輩は力いっぱい押すこと。
そして、押しながらも間に合うはずもない言葉を紡ぐことだった。

「ラウン──」


刹那──ガツンッ!!──と。




「……ぐっ……!!」




黒い塊が直撃する。
鉄か、岩か、それとも他の何かは理解できない。
けれども『硬い何か』がユーノに直撃したことだけは、痛みが教えてくれた。
そのまま遺跡の奥へと吹き飛ばされる。
そして勢いそのままに壁に叩きつけられる。

「……ッ……!」

意識が遠のく。
薄暗い景色の映っている視界が一瞬にしてブラックアウトした。
落下しながら、だんだんと意識が失われていくのが分かる。
死ぬのか、気を失うのか分からない。
それが理解できないほどの激痛。
複雑なことなど考えられないほどに失っていく意識。
普通ならば純粋な恐怖さえも生まれそうな最中で。




どうしてだろうか。




ユーノは。




「    」




呟いた。




気を失うのかも、死ぬのかも分からないその瞬間に。




なぜか。




脳裏に浮かんだのは。




彼の口唇から紡がれたのは。




『怖い』でも『痛い』でもなくて。




ただ一人。








「    」








たった一人の──女性のことだった。


























というわけで、これは……なんだろう?
おまけですが、よくわかりません。
思いついたままに書きなぐってみました。




Calling〜紡ぐのはキミの〜




というのが、タイトルです。
ではでは結城でした。