おまけシリーズその10
これは私もどうしたかったのかちょっと分かりませんが、雰囲気だけで納得してください。
キャロがユーノの家に泊まったある日のこと。
「…………ん……」
ふと、夜中に目が覚めた。
軽く目を擦って、時間を確認しようとする。
「…………あれ……?」
が、隣で寝ている人がいないことに気付いた。
「……おと……さん……?」
呼ぶが、返事がない。
「おとーさん?」
もう一度紡ぐが、隣の布団にユーノの影は無い。
「…………えっ……?」
瞬間、一気にキャロの顔が青ざめる。
「おとーさん!?」
慌てて左右を見回す。
すると、襖の隙間から光が差しているのに気付く。
急いで寝室から飛び出した。
「おとーさんっ!」
名前を呼びながら、周囲を見渡す。
すると、台所にユーノの姿が見えた。
「キャロ?」
驚きの表情を浮かべているユーノに、キャロはすぐに飛びついた。
「うわっ、と……」
少しよろめきながらも、しっかりとキャロを抱きとめる。
「どうしたの?」
「……い、いきなりいなくなっちゃったと思って、それで……怖くなって……」
顔面蒼白なのにも関わらず、必死にユーノをしがみつく。
ユーノはそんなキャロを、初めて『おとーさん』と呼ばれたときと同じように、優しく抱きしめる。
そしてポンポン、とリズムよく背中を叩く。
「ごめんね。ちょっと水を飲みに行っただけだったんだけど……」
少し喉が渇いたが故の行動だった。
けれど、
「怖がらせちゃったみたいだね」
これは失態だ。
「大丈夫だよ。『おとーさん』はどこにも行かないから」
決してキャロを一人になんかしない。
ゆっくりと、優しくキャロを抱きしめる。
「おとーさんはずっと…………ずっとキャロの『おとーさん』だから、どこにも行かないよ」
◇ ◇
「キャロ」
寝室に戻ると、ユーノは抱きついたままのキャロに尋ねる。
「今日は一緒の布団で寝ようか」
「…………いいんですか?」
「いいんだよ。それだったらキャロも怖くないよね?」
「……はい」
温かさを感じるというのは、本当に恐怖そのものを無くしてくれる。
「本当は僕がもうちょっと、ちゃんと父親をしてあげられたらいいんだけど……」
自分がもうちょっと『親』というものを知っていれば、キャロの恐怖は無くなっているのかもしれない。
キャロが怖がる原因の『根』が無くなるかもしれない。
「ごめんね、キャロ」
「そんなことないです! おとーさんは私にとって立派な『おとーさん』です!」
「本当かな?」
「本当です!!」
力一杯キャロが肯定する。
「……ありがとう」
嬉しくて……自然と笑んだ。
……本当に嬉しかった。
◇ ◇
「……まだ、全部解決できたわけじゃない……か」
根は深い。
それこそトラウマと言っても過言ではないものだ。
「だから……」
だからこそ、ユーノは切に思う。
「もっともっと、甘えさせてあげないとな」
自分の腕を枕にして眠っている少女、いらぬ心配をさせないように。
「キャロがもっと安心できるように」
そのために、精一杯甘えさせてあげたい。
「何も……怖がらなくていいようにさせたい」
桃色の髪の毛をゆっくりと撫でながら、ユーノは最愛の娘に微笑む。
「『おとーさん』が、キャロが怖がらなくていいように頑張るから」
もっともっと、キャロの『おとーさん』になれるように頑張るから。
だから今は、
「おやすみ、キャロ」
というわけで、次は『original strikers』の嘘予告です。
使われる言葉も、使われない言葉も存在します。
舌戦部分のちょっとした抜き出しになってます。
『どうすれば、こんな結果になる』
「これが“ユーノ・スクライア”という存在か」
興味深い。
実に興味深い。
「君みたいな人物をどう言うんだろうか。誰にも勝てず、誰にも負けない……そんな人物のことを」
一体どう称すればいいのだろうか。
『彼女はどう称する』
「君にとって『ユーノ・スクライア』とはどういう存在なんだい?」
彼女はなんと称するのだろう。
「私は彼を『 』と称した。ならば君は彼をどう称する?」
『答えなど決まっている』
「私にとってユーノ・スクライアは……」
誰もが認めないと思う。
誰もが納得しないと思う。
でも、私だけは認める。
彼は『 』なんだと。
私が思っている。
『本当に笑わせる』
「お前が一般論を語るなよ、ジェイル・スカリエッティ」
誰よりも遠く、誰よりも離れている。
なのに貴方はそれを語った。
「知らないことを語るほど滑稽なものはない」
『シナリオを狂わせたのは誰だ』
「私のシナリオを狂わせたのは君だ」
他の誰でもない、目の前の青年。
「ユーノ・スクライアという“予想外”の存在が、私のシナリオを狂わせた」
『世界はどうなる』
「まるで砂塵のように、脆く吹き飛ばせるだろう」
あまりにも容易に壊せる。
「けれどね、それは別に私だけが出来るわけではないよ」
世界を壊せる者を止められるのは、同じ力を持つものだけだ。
「君達が集まれば、世界など容易に壊せるはずだよ」
『運命の始まり』
「彼らを引き合わせたのは誰だ? 彼女らを魔法とめぐり合わせたのは誰だ? 誰が切っ掛けで君達は出会った?」
誰かがその中心にいる。
「『運命』の発端は誰が握った? 『運命』の引き金を引いたのは一体誰だ?」
誰かが『運命』の切っ先を握っている。
『始まりと終わりを担う者』
「ならば、彼女達の運命を交差させたのは誰だ!?」
誰の手によって導かれた?
「全ての『 』は一体誰なんだい!?」
どこの誰が引き合わせた?
「答えは分かりきっているだろう!」
『無関係……ではない』
「さあ、どうするユーノ・スクライア! この場において、唯一無関係だったはずの君が最大の当事者だ!!」
全ての『 』を担っているのが君だ。
「決めたまえ! 他の誰でもない『 』である君がこの『 』をどう終わらせるのかを!!」
『存在』
「鬼才と奇才と危才と貴才に囲まれながら、ただ一人凡庸だということはそれだけで異端だ」
だから、
「だからこそ、私の相手には君が相応しい」
私が戦うに値する。
「さあ、始めよう! そして奏でようじゃないか!」
この『 』の終わりを。
「──終末の鐘を!!」