ちょっとしたおまけ
没ネタとも言いますね。
では、ご覧になりたかったらどうぞです。
『もし、あのときキャロが入ってきたら、どうなってた?』
「あのね、フェイト」
「何?」
「そろそろキャロが来ちゃうんだけど……」
時間的には、そろそろキャロがやってくる頃だろう。
なのにも関わらず、フェイトはユーノの隣に座って引っ付いている。
「うん、知ってるよ」
「なら、その……少しばかり離れてくれると嬉しいんだよね……」
二人並んで座っているソファーから逃げようとするが、フェイトがそれを許さない。
「イヤだよ」
「でも、僕にも親としての……ね、その……分かるだろ!?」
キャロに冷たい目で見られたら、親馬鹿のユーノとしては多大にダメージを受ける。
「だってユーノ、一緒にいてくれるって言ったよ?」
「そ、それはそうだけ──」
──カチャリ──
ユーノが言い訳しようとした瞬間、いきなり司書長室のドアが開いた。
「おとーさん! 今日はエリオ君も連れてきたんですけど、いいで……す……か…………」
………………ユーノとフェイト、そして司書長室に入ってきたキャロとエリオの時が止まった。
四人の瞳が曖昧に漂う。
こんな状況、誰しもがなったことないためにどうしていいか分からなかった。
けれど、四人の中でユーノがいち早く状況を察して言い訳を始めようとする。
「…………あのね、これは……」
が、言い訳を必死に考えているのに、適当な言葉を言うことが出来ない。
無限書庫の司書長なのに。
すると、エリオが空気を読む発言をした。
「えっと……その…………お邪魔……です……よね」
二人の様子から鑑みるに、どうやらお邪魔なのはエリオとキャロの二人。
「そ、そんなこと──」
ない、と慌ててフェイトが言おうとするが、その前にエリオとキャロは目を合わせると、
「「お邪魔しました!」」
と言って、ドアをいきなり閉めた。
「ちょ、ちょっと二人とも!」
ユーノが慌ててドアを開けて通路を見るが、二人と一匹の姿はすでにない。
「……………………うわぁ……」
やっかいなことになった。
予測していたことが本当になってしまった。
「ど、どうしようか?」
くるりと振り向いて、室内にいて固まっているフェイトに尋ねる。
「ど、どうしようって……ど、どうしよう?」
しかし、こんな状況を打破する案を出せるはずもない。
なので事の次第は……子供の手に委ねられた。
そして
─結果─
次の日、場所は司書長室。
いるのは縮こまっている父親と……冷たい視線を向けている娘。
どうやらキャロは一日経ったら、こんなことをする心境に達したらしい。
「やっぱり、娘の前でああいうのはよくないと思います」
「それは……その…………はい。重々承知してます」
しかもユーノはキャロの前で正座をしている。
否、させられている。
「私、本当にビックリしたんですよ!」
司書長室に入ったら、二人がべったりとくっついていたのだから、さすがに驚く。
「……本当に申し訳なく思ってます」
キャロの言葉に、ユーノはただ平謝りするばかり。
「まあ、相手がフェイトさんだし、私からは何も言いませんけど……」
前々から薄っすらと分かっていたことだから、特に何も言いはしない。
ユーノの恋人には申し分ない人だというのは、キャロがよく分かっている。
「でも、おとーさんに恋人が出来るってことは、いずれ私の『おかーさん』になるんですよ!」
「…………はい、その通りです」
「だから私が何も言わなくても、そのことはおとーさんから私に言うべきです!」
それは相手が誰であっても、だ。
つまり、
「相手がフェイトさんだろうと、ちゃんと私に言うべきだと思います!」
確かにフェイトなら、何の滞りもなく『おかーさん』と呼べるだろう。
けれど、それでもちゃんと報告する義務がユーノにはあるはずだ。
「仰るとおりです」
それはユーノも分かっているのか、キャロに平謝りするばかり。
なのだけど……ユーノは何故ここまで一方的にやられているのだろうか。
だって、言うだけの時間がユーノ達に存在していなかったのだ。
ユーノとフェイトは数分前に恋人同士になった。
つまりキャロに報告する時間が存在していなかった。
が、そんな理論は通用するわけもない。
目の前で起こったことがキャロにとっての全てだから。
それにユーノだって、見られればこうなることを予感していた。
冷たい視線で見られることを予測していた。
なのにこの状況に陥ってしまった。
つまり予測していたのに何もしなかったユーノが…………全面的に悪い。
というわけで、ユーノはキャロに頭が上がらなかった。
「今度からは、ちゃんとキャロに報告します」
ほとんど土下座に近い格好になってユーノは言う。
「なのでそろそろ機嫌を直してくれると嬉しいんだけど……」
ユーノとしては、キャロに冷たい目で見られると相当堪える。
だが、
「それは『ユーノさん』次第です」
キャロはそう言った。
結局普段どおりの二人に戻ったのは…………それから三日後。
あとがき:まあ、ちょっとしたお遊びですね。一度くらいはこんなものいいかな、と。
掲示板を呼んでくれて、さらにこの没ネタ作品を読んでくださった方、どうもありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。
結城ヒロより。